地球PF運用ブログ

2億円の「地球ポートフォリオ」で地球全体の資産を運用する氷河期リーマンのブログ

VTやオルカンに含まれるREIT

先日、地球PFを構成する地球不動産の問題について記事を書きました。

chikyu-pf.hatenablog.com

前回の記事の要点は以下のとおりです。

  • 地球株に含まれているREITを地球不動産として集計できていない。
  • そもそも地球不動産のカテゴリが不要だと思い始めている。
  • なぜ当初は地球不動産を必要と思い、今は不要と思っているのか、内省が不十分。

最後の点について、言語化が難しいと言い訳しながら「投資に関する、ある意味で日本的な価値観が私の思考を支配していからだと推測」と、なんだか意味不明なことを書いてしまいました。もう少し補足したいと思います。

一般にグローバル株価指数の構成銘柄には、株式だけでなくREITも含まれています。もちろん、J-REITも含みます。例えば「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」がそうです。前回の記事で例として取り上げた「VT」は、この指数との連動を目指す商品です。また「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」もREITを含みます。みんな大好き(?)な「eMAXIS Slim 全世界株式」(以下、オルカン)は、この指数との連動を目指す商品です。

上記に限らず、日本で割と一般的な、先進国株式(除く日本)の指標となっている「MSCIコクサイ・インデックス」もREITを含みます。「S&P500」だってそうです。いま日本で大人気の「米国株」ファンドには、US-REITが含まれています。

色々と例を挙げましたが、日本で「世界全体の株式に投資」「先進国株に投資」「米国株に投資」等と謳う金融商品は、大体上記の指数との連動を目指すものです。いわゆる外国株として大きく括られるファンドには、たとえ「株式」という冠がついていても、ほぼ漏れなくREITが含まれている、と考えて差し支えないと思います。これらのインデックスファンドに投資して「これで株式100%のポートフォリオだ」と信じている人も居られるかもしれません。その場合、実は株式だけで100%を占めるには至っておらず、REITが数%ほど含まれています。

こういったことが気になる方は、バランスファンドに投資する場合も注意が必要です。例えば、先進国の株式・債券・REITに3分の1ずつ投資するバランスファンドがあったとします。この中で株式部分への投資は、上記のような株価指数に連動するものであり、既にREITが含まれてしまっています。その上で、別途REITだけにも投資しています。つまり、実際には3分の1ずつになっておらず、REITへの配分が少し多くなっています。

バランスファンド内で株式部分に含まれているREITを分離して、それを厳密に「REIT」として集計しているファンドは、現時点で私が知る限り存在していないと思います。これは「地球PF」でも同様で、前回の記事で「集計上の問題」として取り上げました。

ところで、この種の「各資産クラスを均等にする」バランスファンドでは、一般にファンド内でのREITの割合が大き過ぎる傾向があります。REITの市場規模が株式や債券のそれに対して非常に小さいにもかかわらず、ファンド内では株式や債券と同じ割合にしてしまっているからです。もちろん、それを認識した上で投資するのであれば、何の問題もありません。それでも、実際には均等になっておらず、REITの方が多く含まれている点には注意が必要でしょう。また、地域別の均等を図って、先進国・日本・新興国に3分の1ずつ投資する、といったバランスファンドもあります。これも実際の市場規模の観点からすると不思議なバランスの取り方に思えますが、今回の記事とは関係が無いので、これ以上は触れません。

このように、グローバル株価指数REITを含んでいます。では、日本で算出されている株価指数ではどうでしょうか。例えば、TOPIX日経平均の構成銘柄にREITが含まれているでしょうか。これらの指数には、REITが1銘柄も含まれていません。この点で、諸外国と日本は著しく異なっています。

なぜ外国と日本でこのような違いがあるのか、よく分かりません。日本は外国のREITに倣って「J-REIT」を整備してきました。しかし、先輩にあたる外国では株式とREITが厳密に区別されてなく、後から取り入れた日本の方が、株式とREITをしっかりと区別しています。この違いが両者の株価指数に反映されているようです。「株価指数REITを含む」のは外国の考え方であって、日本では厳密に、株式は株式、REITREITなのです。これが、前回の記事で書いた「投資に関する、ある意味で日本的な価値観」の正体です。

私は数か月前に、地球株から地球PFにポートフォリオを拡張する計画を立てました。その際に候補に上がった資産クラスが、地球債、地球不動産、地球商品です。この時、地球株や地球債に並んで、全く違和感なく「地球不動産」を独立したカテゴリとして想定しました。しかし段々と、地球不動産は独立して管理するカテゴリなんだろうか、と疑問に思うようになってきました。

株式と債券は、明らかに異なる資産クラスです。より高い視点で見れば「株式は満期が無い債券」であり、債券の一種であるとも見なせます。しかし運用の次元では、そこまで抽象化する必要は無いでしょう。株式と商品(コモディティ)は更に異なります。商品には配当がありません。また株式等と異なり、一般に商品それ自体に価値があります。

では、株式と不動産はどうでしょうか。ここでいう不動産とは、住居ではなく投資対象です。住居としての不動産は、もちろん株式とは全く別物です。また、ここでいう不動産とは、投資対象の中でも現物ではなく、REITのことを指しています。そもそも地球不動産はREITを用いなければ実現できません。

さて、これまでの私の認識では、株式とREITは根本的に異なる資産であって、別々に扱うことに対して何の違和感もありませんでした。日本でTOPIXREITが入っていないように、そんなことは当然であって、疑問すら湧きませんでした。しかし実際に両者を運用してみると、REITは株式と良く似ていることに気が付きます。両者は相関が高く、株が上がる時にはREITも上がります。市場で金利が上がれば、株もREITも揃って下がります。

REITはもちろん不動産ですが、リスクと収益率の観点から見ると高配当株に近いです。その意味では、REITは不動産であると同時に株式の一種のようなもので、株式の1セクターに過ぎないようにも感じます。実際、おそらく米国をはじめ外国ではそのような感覚で、株価指数に「テクノロジー」や「金融」などのセクターと並んで「不動産(REIT)」が含まれているのだと思います。

地球株と地球不動産について、当初と今の認識の違いを図示すると以下のような感じです。

 

<当初の認識>

  • 地球PF
    • 地球株
    • 地球債
    • 地球不動産(地球株と同列)
    • 地球商品

 

<今の認識>

  • 地球PF
    • 地球株
      • 地球テクノロジー
      • 地球金融
      • 地球不動産(地球株の下位)
      • 地球 etc
    • 地球債
    • 地球商品

 

当初の私は、おそらく日本でのREITに対する考え方の影響を知らず知らずのうちに受けていて、株式とREITを完全に別モノとして扱っていました。それが実際に運用していく中で「REITは株式の1セクター」という、ある意味でグローバル基準のREITの考え方に近づいてきたのかもしれません。

もっとも実際の地球不動産の運用については、前回の記事でも書いた通り、既に保有しているREIT ETFを当面そのまま売らずに放置しておくつもりです。

 

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