地球PF運用ブログ

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欲望の資本主義「メタバースの衝撃」

先日、NHKで放送された「欲望の資本主義2022夏 特別編「メタバースの衝撃 デジタル経済のパラドックス」」を視聴しました。2時間弱ほどのドキュメントで、いま話題の「メタバース」を取り巻く最新状況が分かります。メタバースとは、コンピュータ上に構築された3D仮想空間です。映画「レディ・プレーヤー1」のVR世界「オアシス」や、「サマーウォーズ」の仮想空間「OZ」みたいなものですね。

メタバースでは経済取引も行われるため、現在あらゆる業界が参入しようとしています。その市場規模は既に10兆円、2030年には100兆円に及ぶと予想されています。今後の経済活動はモノからデジタルにどんどん移行するため、実際にそのレベルの市場規模に成長してもおかしくない、ということだそうです。ほんまかいな。

番組では、メタバース参入に取り組む百貨店や保険会社等が紹介されていました。「保険会社が一体何やるの?」と思いましたが、メタバースに関連する情報漏洩などのリスクを保証するそうです。なるほど、色々考えますね。また面白いところでは、吉本興行も参入しています。ただし、今のところ全然儲かっていないそうです。

具体的な事例を色々見ましたが、率直に言って「え、メタバースってまだこんなものなの?」と思いました。なんというか、ひと昔前のゲーム画面を見ているようです。今のところオアシスやOZには程遠いですね。様々な識者がメタバースについて熱く語っていましたが、もしかすると「セカンドライフ」の二の舞を演じるかもしれません。今後の進展を見守りたいと思います。

また番組ではメタバースに関連して、デジタル経済全般についても取り上げていました。個人的にはこちらの方が興味深かったです。地球上の資源は有限ですが、人間のアイデアや創造性は枯渇しません。経済活動の主役が今後「モノ」から「コト」に移行していくのであれば、その成長に物理的な限界は無いのかもしれません。

とはいえ、デジタル経済の全体像を捉えるのは難しいです。通常、経済活動の規模はGDPで表されます。しかし、この指標には消費者余剰が含まれていません。いま私たちは無料で様々なデジタルサービスを利用しています。これらの便益はGDPに反映されません。つまり、GDPでは本当の豊かさを測ることができません。今後はGDPとして表れないデジタル経済が更に拡大すると見込まれているため、私たちには新たな経済指標が必要かもしれません。

ところで、番組の後半でエマニュエル・トッドが、多くの人がメタバースに注目する今の風潮に対して警鐘を鳴らしていました。「仮想的なことより現実を見ろ」「現実世界で問題が山積している」というわけです。実は番組を見ていて一番納得したのは、彼のこの言葉でした。今や経済はボロボロ、戦争や内戦もあちこちで起きていて、確かに仮想世界どころではないはずです。

映画「レディ・プレーヤー1」の「オアシス」は、人類が荒廃した現実世界から逃避するために入り浸っているVR世界でした。今後「メタバース」が同じような存在に成り下がってしまうような現実世界にならないことを祈ります。

 

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