地球PF運用ブログ

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政府支出だけで経済は成長するのか

昨今ネット上で、政府支出とGDPの関係に関する議論をよく目にします。数年前に、政府支出の増加率とGDPの増加率を国別にプロットしたグラフを見ました。それによると両者の相関は非常に強く、相関係数は実に0.91にもなります。また、両方とも最高水準なのが中国で、逆に最低水準なのが日本です。

 

財政支出GDPの相関

出展:https://diamond.jp/articles/-/289179?page=2


この強い相関関係を基に、一部の積極財政論者は「政府支出を増やせばGDPが増える」「日本が成長しないのは政府支出が少なすぎるから」と主張します。しかし、相関関係と因果関係は異なります。この図から政府支出とGDPが強く相関していることは明確ですが、どちらが原因でどちらが結果なのか、までは分かりません。つまり、政府支出が増えたからGDPが増えたのか、それともGDPが増えたから政府支出を増やせただけなのか、どちらなのかは不明です。

ただ常識的に考えれば、おそらく両者とも部分的に原因であり結果なのでしょう。政府が民間企業等にお金を出して仕事を発注すれば、企業や個人は所得を得て、その一部を消費に回すはずです。それらはGDPに加算されます。また逆に、GDPが大きい国では一般に政府の収入も多いので、政府支出に回せるお金も当然に多いでしょう。そう考えれば、政府支出とGDPには部分的に双方向の因果関係がありそうです。

一方、ネット上(というかツイッター上)では、経済成長に寄与するのは政府支出のみである、という過激な主張もよく目にします。大多数がMMTをバックボーンにして主張しているようです。上記のとおり政府支出が部分的にGDPの増加、すなわち経済成長に寄与していることは間違いないでしょう。しかし、それが全てであって他の要素は一切ない、というのは言い過ぎな気がします。もしそうであれば、一国の経済成長において企業や個人の努力は全く関係無い、ということになってしまいます。

こういった論点について、金融アナリストのアトキンソン氏が面白い喩え話をツイートしていました。マッチョになるためには食事と筋トレが必要であり、食事だけでは単なるデブになるだけだと。つまり、経済成長(マッチョ)には政府支出(食事)とイノベーション(筋トレ)の両方が必要で、政府支出だけでは放漫財政(デブ)に陥るだけ、ということですね。氏は金融や経済に大変造詣の深い専門家なので、さすが上手いことを言うもんだなと感心しました。

私自身、緊縮財政には反対です。経済成長にとって政府支出は確かに必要だと思います。しかしそれだけではダメで、投資を基に各企業や個人がイノベーションを促進していかなければ、おそらく意味がないでしょう。なんでもかんでも「政府が悪い」と言うのではなく、自分で出来ることを日々実践していくことが大事だと思いました。

 

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