15日、ロシア「製」ミサイルがポーランド東部に着弾し、2人が死亡しました。当初はロシアがミサイルを発射したのではないかと憶測されました。その後、ロシアのミサイルを迎撃するためにウクライナ軍が発射したミサイルが落下した、といった米当局の見方が出てきました。おそらく後者が真相でしょう。なお、ウクライナのゼレンスキー大統領は自軍のミサイルではないと主張しています。
仮にロシアがミサイルを発射していたとしたら、第三次世界大戦に発展していた可能性もゼロではありません。ポーランドはNATO(北大西洋条約機構)加盟国です。北大西洋条約第5条には「欧州または北米における1または2以上の加盟国に対する武力攻撃は全加盟国への攻撃と見なす」と明記されています。その上で、集団的自衛権の行使、兵力の使用も含めた支援などが規定されています。この第5条は、2001年の米同時テロ後に実際に発動されました。アメリカもNATO加盟国なので、最悪の場合、アメリカ対ロシアを主軸とした第三次世界大戦に発展してもおかしくなかった、というわけです。
逆に言えば、だからこそ「ロシアが発射したミサイルである可能性は低い」と考えられます。ロシアだって第三次世界大戦など望んでいないはずで、わざわざ自分の首を絞めるようなことはしないでしょう。アメリカも他のNATO加盟国もそんな事態は望んでいません。
非常に言いにくいですが、唯一の例外がウクライナであると考えることも可能です。ウクライナは侵攻してきたロシアに対して善戦していますが、それでもロシア軍が優勢でしょう。今や自国の存亡がかかっており、何が何でもNATOに参戦してほしいはずです。穿った見方をすれば、そのために「ロシアにやられた」と主張する動機があります。もっとも今回に関しては、ゼレンスキー大統領は自軍の報告を信頼して「自軍のミサイルではない」と言っているのでしょう。大統領の立場ではそうする他ありません。
ところで今回、おそらく「ロシアが発射したミサイルではないだろう」と考えられる傍証がもう1つありました。それは、株式市場の反応が小さかったことです。株式市場にはある種の先見力があります。もし第三次世界大戦に発展するようなきっかけが発生すれば、私たち庶民がその確証を得る「前に」主要株価が暴落する可能性が高いです。今回そうなっていないことから、逆説的に「このミサイルはロシア発じゃないだろうな」と見なせます。株の先見力については以下の本が参考になります。
それにしても、私たちは恐ろしい時代に生きています。もしロシアによるウクライナ侵攻に端を発した第三次世界大戦が発生した場合、日本も対岸の火事では済まされません。まず、日本はアメリカの同盟国です。アメリカが参戦すれば、日本も自衛隊を送らざるを得ないでしょう。またそれ以前に、日本はロシアに対して経済制裁を発動しています。これは宣戦布告と同じです。つまりロシアから見れば、日本はアメリカの同盟国であると同時に、直接報復すべき当事国だということになります。
第三次世界大戦ともなれば地球PFは大暴落必至です。いや、そもそも呑気に投資などしている場合ではなくなるかもしれません。平和を願ってやみません。
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