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絶妙なYCC修正

日銀は28日の金融政策決定会合でYCC修正を決定しました。あくまで金融緩和は継続するという前提の下、その持続性を高めるためにYCCの運用を柔軟化します。

これまでは10年金利の変動幅を-0.5~0.5%とし、0.5%を超える場合は指値オペで抑制してきました。今後は同変動幅を「目途」とし、0.5~1.0%の間は機動的なオペで対応します。そして1.0%を超える場合は指値オペで抑制します。上限が一気に1%にまで拡大されるという、なかなか思い切った修正です。

大方の事前予想はYCC修正無しでした。私もそう思っていました。それが先週金曜日の深夜、日経新聞が突然「日銀がYCC修正検討」と報じました。これを受けて為替も株価も一時乱高下しました。

しかし、いざ正式にYCC修正が発表されると、ドル円は再び円安方向に巻き戻し、ほとんど元の水準に戻りました。10年金利日経平均もほぼ同様です。これまで多くの識者が、もしYCC修正なら金利は急騰、一気に円高となり、株価は暴落すると予想してきました。恥ずかしながら私自身もそのような記事を書いたことがあります。

これほど大きなYCC修正にもかかわらず、なぜ市場の反応が極めて小さいのでしょうか。単純に考えれば、今回の措置は事実上の利上げに相当し、金利は1%に張り付いてもおかしくないように思えます。ところが、今のところその兆候は見られません。これについてネットで色々な解説を読んでみたところ、どうやら今回のYCC修正が絶妙に柔軟であることがポイントのようです。

今回、変動幅は従来と変わらないものの「目途」となり、0.5~1.0%の間は「機動的なオペで対応」されます。0.5%から1.0%までには相当大きな開きがあり、非常に曖昧模糊としています。一方で投機筋から見れば、安易に売りを仕掛けられず、身動きが取りにくいはずです。というのも、0.5~1.0%の間のどこで日銀から指値オペを食らうか分からないからです。言い換えれば、この大きな範囲の中で日銀が投機筋に対して生殺与奪の権に握っています。

あえて曖昧な表現にしておくことで相手の動きを封じる。なんというか、良くも悪くも非常に日本らしい戦法だと思いました。事前のメディアコントロールも含め、植田総裁はかなりの切れ者のようです。植田総裁率いる我らが日銀を応援したいと思います。

 

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