ヤマダデンキが大盤振る舞いのキャンペーン「ヤマダ積立預金」を打ち出すも、想定外に大量の申し込みを受け、開始前から中止に追い込まれるという、なかなか興味深い事案が発生しました。
ヤマダデンキは11月28日、自動積立預金サービス「ヤマダ積立預金」のリリースを発表しました。満期まで1年持てば積立総額の5%、更にリリース記念のキャンペーンとしてプラス5%、計10%をポイント還元するという施策です。元本保証で実質年利は約18.5%にもなります。まるで投資詐欺の謳い文句のような破格のキャンペーンです。
これを目聡い人たちが見逃すはずもなく申し込みが殺到。金額上限が設定されていなかったため、Xでは一部のポイ活民や株クラ民が億単位の資金を準備するなど、お祭り騒ぎになっていました。これを受けてヤマダデンキは12月2日に慌ててキャンペーンを撤回、通常の5%還元まで打ち消す完全撤回を決定しました。既に申し込み済みの人には、お詫びとしてヤマダポイントが3000ポイント配布されます。
わずか数日間で怒涛の展開を見せ、ヤマダ積立預金は幻となりました。Xを覗くと「契約違反だ!」とブチ切れている株クラ民もチラホラと見られます。最初から乗り遅れている私なんかは、それでも無料で3000ポイント貰えるなら良いじゃん、と思いますけどね。Xの私のフォロワーさんは当初から中止を「予言」していました。凄いものです。
ところで、少々意地悪な見方をすると、ヤマダデンキは結果的に3000ポイントと交換で優良な個人情報を得たことになります。実質年利18.5%を餌にして、それなりの資金を躊躇なく1年間預けられる、資金に余裕のある人たちの個人情報を大量に収集できました。そして収集後に餌を撤回、代わりにポイント少しあげるから許してね、というわけです。これではある意味で本物の投資詐欺とあまり変わらない気もします。
少し話が変わりますが、この騒動で思い出されるのが「効率的市場仮説」です。効率的市場とは、いかなる時でもその価格が本質価値に対する最良の推定値になっている、という状態の市場です。たとえば株式市場であれば、ある企業の業績やニュースなどが発表されると即座に株価に反映されます。つまり、おそらくその時点で最良と思われる株価となります。
こういった効率的市場では、仮に確実に儲かる機会が生じたとしても、それを利用できる人は極めて限定的です。なぜなら、たとえば超絶にお買い得な割安銘柄が発掘されれば、今やあっという間に情報が広まり、すぐに買いが殺到して高くなり、その銘柄はもはや割安ではなくなるからです。要するに、異常に有利な機会などそうそう無く、もし生じたとしても即座に消失してしまいます。このような市場が効率的市場です。ちなみに株式市場は概ね効率的市場であると考えられています。
ヤマダ積立預金中止の顛末を見ていて、こうした日常の世界も株式市場などと同様に、かなりの程度「効率的」になっているものと思いました。SNSの発達等で情報が瞬く間に広く共有されるようになったからでしょうか。ちなみに私はこういうチャンスに大変疎く、大抵は乗り遅れます。それは投資でも同じなので、最初から市場を効率的だろうと見なして地球株ひいては地球PFのポートフォリオを作って来たわけです。今回のヤマダ積立預金中止騒動、金融工学のテーマにも繋がる大変興味深い事案でした。
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