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バービー

映画「バービー」を鑑賞しました。友人兄弟と私の、おっさん3人で観に行きました。それなりに面白かったですけど、おっさんが連れ立って観に行く映画ではなかったかもしれません。

本当は「オッペンハイマー」を観たかったんです。しかし、まだ日本で公開されていません。公開日も未定で、日本では公開されない可能性もあるようですね。それで、オッペンハイマーと共に話題になっていたバービーにしました。といっても、原爆と関連付けられた、悪い意味での話題でしたけど。ちなみにオッペンハイマーとバービーの組み合わせは、あくまで米国の広告上の話であって、バービー本編と原爆は一切関係ありません。

バービーのテーマは、一言でいうと「社会的な属性に囚われず自分らしく生きよう」って感じでしょうか。ざっくりしたストーリーはこうです。以下、ネタバレがありますので、これから映画を見る予定の人はこの先を読まない方が良いかもしれません。

バービーが暮らしているのは「バービーランド」。そこは何もかもピンクで、たくさんのバービーが色々な職業で活躍しています。大統領もバービー、物理学者もバービー、医者もバービー。女性が活躍する、女性にとっての理想郷と言えるかもしれません。恋人のケン(ケン達)など男性も居ますが、この世界ではオマケの扱いで、やや冷遇されています。

主人公のバービーは、白人でブロンドヘアの最も典型的なバービー。彼女は自己肯定感MAXで、自分が人間の女性にとっての理想像であり、人間世界の女性にパワーを与え、そのおかげで人間世界もバービーランドのように女性が活躍する世界になっている、と思い込んでいます。そんなバービーでしたが、ある日、あるきっかけで「死」について考えるようになり、自分の身体や周囲の環境に違和感を覚えるようになります。それを解決すべく、バービーとケンは人間の世界に旅立ちます。

人間の世界に来てみると、そこはバービーランドとは全く異なり、主に男性が活躍する男社会です。人間の少女からも「フェミニズムを50年遅らせた」などとボロクソに言われて、ガッカリするバービー。一方でケンは、男性が活躍する人間世界、男性が女性に頼られる人間世界の様子に大喜び。ケンは男性中心社会の思想をバービーランドに持ち帰ります。

かくしてバービーランドは歪な男社会に変容します。それをバービーと、一緒にバービーランドに来た人間の母娘とで協力し合い、元のバービーランドに戻すべく奮闘します。なんやかんやあってバービーランドは元に戻り、最終的にバービーは人間になる選択をします。

この映画、やはり女性の方が楽しめるでしょう。しかし、必ずしもフェミニズム絶賛の映画とも言い切れない感があります。実際、ラストではケンもまた1人の人間(人形)として、社会的な属性という呪縛から解放されています。とはいえ、劇中の男はみんなバカなんですよ。バービーランドのケン達は脳筋単細胞のバカで、人間世界のマテル社(バービー人形の販売会社)幹部達もバカでドジな感じに描かれています。その意味では、やはり女性のための映画なのかな、といった印象を受けました。

劇中で印象的な場面がありました。人間世界に来たバービーは、隣に座っている老婆を見て「美しい」と感嘆します。バービーは女性の理想形として作られた人形です。完璧な美を体現しているのですが、人形なので老いることもなければ死ぬこともできません。そんなバービーが、人間として自然に老いた老婆に美を見出す。人形と人間を対比した、とても象徴的なシーンでした。

映画のラストでは、人間になったバービーが婦人科を訪れます。この種の「最後に人間になる」といったストーリーの映画で、ラストシーンが婦人科受診というのは結構衝撃的です。人形だった頃のバービーは、自分で生殖器が無いことをネタにしたりしていました。まさに人形から人間の女性になったんですね。婦人科を訪れたバービーは物凄く嬉しそうな顔をしています。ラストシーンには、普通の人間になったこと、普通の人間であることは大変素晴らしい、といったメッセージが込められているのかもしれません。

 

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