昨日は円安が進行し、1ドル136円台前半をつけました。約24年ぶりの安値だそうです。日銀は先日の政策決定会合で、大方の予想どおり、引き続き緩和を続けて金利を抑え込んでいく決定をしました。内外金利差から、円が売られています。
日銀の大規模な金融緩和が開始されたのは10年ほど前だったでしょうか。デフレを脱却すべくインフレ率が2%になるまで緩和を続ける、というものでした。現在インフレ率は2%に到達していると思いますが、これは目指していた状態とは異なる、いわゆる「コストプッシュインフレ」だということで緩和を継続しています。当時の見解も今の見解も、おそらく個別には間違ってはいないのだと思います。
一方で、大規模緩和の開始当初から、まことしやかに言われ続けていることがあります。それは、大規模緩和の本当の目的はインフレ率や景気などではなく、超低金利を維持する事それ自体ではないか、というものです。
現在、国債発行高の実に半分ほどを日銀が保有しています。中央銀行がこんなに国債を抱えているような国は、地球上で日本だけです。もし金利が上がってしまえば国債価格が下落して、日銀は大きな評価損を計上することになります。最悪の場合、債務超過に陥りかねません。また、政府債務もダントツで多いです。金利が1%上がるだけでも政府の利払い費は兆単位で膨らんでしまいます。
つまり、今の日本は金利の上昇に対して異常に弱く、超低金利が続いてくれないと維持できない国になっています。さながら、モルヒネの投与を止められない末期癌患者のようです。もしそうであれば、日銀(というか日本)は10年ほど前の時点で、とっくにルビコン川を渡っていたことになります。
こういった状況で、昨今の円安やインフレ云々以前に、そもそも日銀は金利を上げられるものなのでしょうか。黒田総裁はこれまで、国会で日銀の出口戦略を問われると、決まって「出口戦略に触れるのは時期尚早」と答弁してきました。この緩和政策の先に、本当に出口があるのか心配です。
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