政府は早ければ今年中に資産所得倍増プランを策定する方針だそうです。2,000兆円もある家計金融資産の一部を投資に向かわせたい、ということでしょう。しかし、岸田総理はつい最近まで「資産所得課税の強化」を主張していました。こちらは資産所得に対する税金を増やす政策ですから、今回のプランとはベクトルが真逆です。それだけに、どうしても不安がつきまといます。
総理は総裁選の頃から「新しい資本主義」という看板を掲げています。今回の資産所得倍増プランも、新しい資本主義の一環という位置付けです。ところが、新しい資本主義の中身がまだ良く分かりません。
総理からは、これまでの発言から、成長よりも分配に重きを置きたい傾向が伺えます。また、金融所得課税強化や自社株買い制限等の政策から株価が大きく下落した「岸田ショック」も記憶に新しいところです。さらに、岸田さん個人は株式を一切保有していません。これらを勘案すると、「新しい資本主義」とは結局のところ社会主義への回帰ではないかと思えてきます。
日本は元々資本主義国なのに、なぜ「回帰」かと言うと、戦後の日本は資本主義の皮をかぶった、事実上の社会主義国だったと思うからです。この認識は、戦時中の総力戦体制、同体制が産み出した日本型企業、その特徴の一つである終身雇用制、そこから想定できる会社員債券、同債券を前提とした地球PF運用、というように本ブログのテーマと綿々とした繋がりがありますので、機会があればどこかで触れたいと思います。
岸田総理の本心があくまで社会主義的な政策であるとすれば、今回の資産所得倍増プランは少々怖いです。美味しそうなエサで家計の資産を投資に誘い、頃合いを見て資産所得課税の税率アップを発動するつもりかもしれないからです。
私の地球PFは現在ほとんどETFで構成されています。ETFは分配金を出すため、その都度課税されています。今後この課税が強化されるのであれば、分配金を出さないインデックスファンドに切り替える必要が生じるかもしれません。
もっとも、資産所得ではなく資産そのものに対して課税させるようになれば、もうお手上げです。私個人の事情はともかく、おそらく社会的にはその方が望ましいため、いつかそうなるだろうと危惧しています。
【姉妹サイト】