地球PF運用ブログ

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自覚なき勝ち組

厳しい投資環境が続いています。先行きも不透明で、今後の投資戦略を再検討している投資家も多いと思います。昨今では米国株式市場が大きく成長し、米国株投資家が大いに報われました。今後もこの流れが続くのか、それともリセッションで暴落してしまうのか、実際にはFRB含め誰にも分からないと思います。

ここ十数年、上記のような目立つ勝ち組が居る一方で、全く意図せずに十分な運用成果を上げてきた層があります。投資に関心がなく、何もしなかった人たちです。つまり、資産の大部分を預貯金のまま眠らせていた大多数の日本人です。言い換えれば、彼らは日本円という通貨に全財産を全集中してきました。それが意図的な投資かどうかはともかくとして、長年デフレから脱却できない日本では、まさに理にかなった投資行動でした。彼らは「自覚なき勝ち組」と言えます。

デフレ経済下では、モノに対してお金の価値が上がっていきます。日本はバブル崩壊以降、デフレから脱却できずに苦しんできました。この環境では下手に投資するより、むしろお金のままにしておく方が資産価値が上がります。日本企業は「お金を貯め込んで使わない」とよく批判されます。しかし、デフレ下では「キャッシュでの保有」が正しい投資行動なので仕方ありません。

それは家計も同じです。日本の家計の金融資産は2000兆円、そのうち実に1000兆円が預貯金だそうです。ただし、彼らの大部分は「日本円に投資している」という意識はなく、ただ預金したまま放置しているだけだと思います。もしかすると、あれこれ悩んで投資してきた一部の投資家よりも、預貯金のまま放置していた人たちの方が運用成績が良かったかも分かりません。彼らの預貯金はほとんどリスクゼロで実質価値が上がり続けました。

しかしながら、この状況がいよいよ変わりつつあります。日本でも物価が上昇、つまりインフレになって来ているからです。経済がデフレからインフレに転換すると、投資に関しても状況が逆転します。しかも今回は、賃金増加を伴わない「悪いインフレ」の様相を呈しています。こうなってくると、国債や預貯金といった名目資産を中心に運用している人たちが打撃を受けます。逆に、株式や不動産といった実物資産を中心に運用している人たちは、短期的には影響を受けますが、長期的にはそれほど影響を受けません。

企業はインフレに対応して投資行動を順次変えていくでしょう。一方、家計の大部分はどのように動くか分かりません。岸田政権は「資産所得倍増プラン」を掲げて、家計の膨大な預貯金を投資に向かわせようとしています。しかし、これまで数十年間「何もしない」でうまく行っていた事を、そう簡単に変えられるのでしょうか。「自覚なき勝ち組」の資産は大半が預貯金なので、今後インフレで資産価値が減少する可能性が大きいです。そうなると、実物資産を運用してインフレの影響を免れる層との経済格差がますます拡がりかねません。

これまでの「自覚なき勝ち組」が、今後は自覚を持って投資しなければ負け組に転落してしまう時代がすぐそこまで来ているようです。

 

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