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Nスぺ、中流危機を超えて①

NHKスペシャル「“中流危機”を越えて 「第1回 企業依存を抜け出せるか」」を視聴しました。所得中間層の貧困化を「中流危機」と題して、その実態と解決策を探る2回シリーズです。昨日の1回目では、中流危機の主な要因が「企業依存システム」の限界であることをレポートしていました。

日本はかつて「一億総中流」と言われるほど所得中間層が分厚い国でした。この中間層は現在どうなっているでしょうか。番組で紹介されていた数字を確認します。1994年、所得中間層の年間所得中央値は505万円でした。2019年の同中央値は374万円です。この25年間で、中間層の所得は131万円も減少してしまいました。

なお、番組では中央値だけに言及していました。しかし表を見ると、年間所得200万円台の世帯が最多で15パーセントを超えていました。更に100万円台の世帯が15%弱、99万円以下の世帯も5%存在していました。かなり衝撃的な数字ではないでしょうか。中間層の問題よりも、こちらを貧困問題として取り上げた方が有意義ではないかと思ったほどです。

番組では、手取りが10万円以上減少し、住宅ローンを支払えずに自宅を売却することになった世帯を取り上げていました。奥さんが涙目で「仕方ない」と言う姿が印象的でした。このような「住宅ローン破綻」に陥る世帯は、残念ながら年々増えています。

少し話が逸れますが、現在欧米各国はインフレ退治のために利上げしまくっています。この流れの中、日本は利上げどころか緩和を継続しています。この金融政策は近々限界を迎えるでしょう。民間の住宅ローン利用者のうち、変動金利タイプの利用者が実に8割を超えています(2021年度調査)。もし日銀が利上げに踏み切れば、住宅ローン破綻の件数は更に激増するものと思います。

話を戻します。通常、経済は緩やかなインフレを伴って成長します。実際に諸外国ではGDPも賃金も上昇してきました。しかし日本は例外で、GDPは横這いで上がらず、賃金はむしろ下がりました。

なぜこうなってしまったのでしょうか。番組は、日本が賃金上がらずの「負のスパイラル」に陥っているからだと解説します。

 

<賃金上がらずの「負のスパイラル」>

  • (世界的な)価格競争
  • 企業の稼ぎが減少
  • 人や設備への投資が減少
  • イノベーションが起きない

 

バブル崩壊以降、日本企業は世界の成長に追随できず、売上が減り、人的投資を削らざるを得ませんでした。するとイノベーションが起きないため、ますます世界から遅れを取ってしまいます。日本の企業および会社員はこの循環構造から長年抜け出せず、負のスパイラルに陥っているというわけです。

そして問題の真因は、企業が会社員を自前で丸抱えする「企業依存システム」であると指摘します。より一般的な言い方をすれば、終身雇用制や年功序列賃金を特徴とする日本の雇用慣行が制度疲労を起こしている、ということでしょう。

この問題に対して、外部人材の登用や成長分野への人材移動等で、負のスパイラルからの脱却に取り組んでいる企業の例が紹介されていました。今後は各企業とも、全社員ではなく、選りすぐりの社員に集中投資していく流れが加速しそうです。

一方で会社員側は、未だに終身雇用制を望んでいるようです。理想の働き方に関するアンケート調査で、「今の会社で働き続けたい」の回答割合が51%に上り、半分を超えています。しかし、昨今ではジョブ型雇用の議論も盛んです。これまでのような、ある意味で安定していた会社員(正社員)の地位はいよいよ崩れていくかもしれません。

若い世代は、よりシビアに現実を見ているようです。アンケート調査で、若者の3分の1は「親より豊かになれない」と回答しています。また、そのうち7割は「努力しても豊かになれない」と答えています。会社の給料が上がらないことを見越して、投資スクールなどに通って株に投資する若者が増えているそうです。私自身、かなり早くから将来に悲観して投資に取り組んできました。そんな私が言える立場ではないかもしれませんが、若者がこぞって投資に向かう日本は今後大丈夫なのかと心配になります。

いずれにしても、既に多くの日本企業には会社員を丸抱えする余裕がありません。会社員は会社だけに頼れない、という未来が早々に訪れます。私はもうおっさんですが、今の若者はより戦略的にキャリアを構築していく必要がありそうです。

Nスぺは時々、翌日仕事をする気が失せるレベルの内容を放送します。今回もその類です。今日が休みで本当に良かったと思っています。興味深い番組でした。来週の2回目にも期待します。

 

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