昨日は久々に出社＆出張でした。今日も出社、週明けも出張です。コロナが落ち着き始め、それに伴って在宅勤務の体制が徐々に崩されつつあるなと肌で感じています。
昨日の出張帰りに、本屋で「DIE WITH ZERO」をパラパラと立ち読みしました。よく話題として挙がる本なので気になっていました。内容は、将来を心配するあまり無駄に働き過ぎるのではなく、むしろ限られた人生なのだから貯め込んだ資産を使い切りなさい、というものです。ちょうど個人的に課題として抱えているテーマです。昨日は同書のうち、気になる箇所だけをつまみ食い的に読んだだけなので、近々ちゃんと読むべき本だなと思いました。
「まえがき」では、イソップ寓話「アリとキリギリス」に対する考え方から始まります。アリは冬に備えてせっせと働き、一方キリギリスは遊んで暮らす。やがて冬が到来し、キリギリスは飢え死にしてしまう。誰もが知っている寓話です。教訓は、真面目に働くこと、将来に備えて準備しておくことの大切さ、といったところでしょうか。しかし同書の著者は疑問を投げかけます。キリギリスの末路は知っているが、アリはどうなったのか。短い生涯を奴隷のように働き、そのまま死んでしまったのか。一体いつ楽しんだのか、と。
今の私は寓話のアリそのものです。漠然とした未来に備えて、せっせと働きながら資産を貯め込んでいます。では、これをいつまで続けるのか、というと実は明確なゴールを設定していません。仮に今の仕事が何よりも楽しいのであれば、何の問題もありません。楽しい上にお金が増える、まさに一石二鳥です。しかし、実際には楽しくも何ともなく、逆に辛いくらいです。十分な資産が無いのであれば、働き続けるしかないでしょう。ところが私の場合、おそらく既に十分な資産を形成しています。それでは、なぜ更に稼ぐために働くのか、その資産は一体いつ活用されるのか、ということになります。
同書には統計データを基にした、架空の45歳独身女性の例が載っていました。彼女は勤勉に働き、蓄財に励み、住宅も確保しています。退職時点で、彼女の資産総額は数千万円に及んでいます。しかし、彼女は資産を使い切れずに寿命を迎えます。使い切れなかった資産は、この例では2年半分の労働に相当していました。ということは、ある意味で彼女は2年半「ただ働き」していたも同然です。
私は彼女とほぼ同じ年齢で独身です。そして資産は彼女の2倍以上あり、生活上の支出はより少ないです。このまま行けば、ただ働き、つまり無駄に労働に費やすことになる時間は、おそらく2年半どころでは済みません。非常に身につまされる話です。
同書の主張するところでは、資産を活用すべき時期は45～60歳の間です。この期間の前では足りなくなるし、逆にこの期間を過ぎると、資産を使い切れずに死んでしまう可能性が高い、ということです。もちろん、同書のタイトル通りに「資産ゼロで死ぬ」なんてことは実際には不可能で、幾ばくかの資産は余るでしょう。とはいえ、大量に余らせて死んでしまうのはバカバカしいです。しかし実際、ほとんどの人は大量に余らせた状態で死んでしまう、ということが分かっています。
たいていの人は死の間際、「自分に正直になるべきだった」「働きすぎなければよかった」と後悔するそうです。私はうつ病からの休職を経て蓄財をスタートし、30代で資産が1億円に達しました。1億円という金額は、自分の生活費から考えて、これくらいあればもう働く必要は無いだろう、という一応の目安でした。ところが、その後もズルズルと働き続け、やがて資産は2億円近くにまで膨らみました。追加の1億円は、実感を伴ったお金というより、もはやゲームのスコアのような単なる数字に過ぎません。もちろんお金は増えれば増えるほど安心ですが、その代わりに貴重な時間を労働によって失い続けています。
いわばRPGゲームで、もう必要ないのにゲーム内のお金を貯め続けているようなものです。というか、実際ゲームでも私はこれを頻繁にやってしまいます。ゲーム内で過剰にお金を貯め、武器や防具をそれほど買わず、レベルを上げまくってラスボスを倒します。そして、せっかく貯め込んだお金は結局使うことなく、また別のゲームに着手します。
人生は一度切りであって、次の人生などありません。あるいは仮に「生まれ変わり」があるとしても、記憶も財産もリセットされるため、やはり今の人生は一度切りのものです。この人生で、私はリアルの蓄財ゲームをいつまで続けるのか、このまま働き続ける意味があるのか、貯め込んだ資産をいつ活用するのか、資産を大量に余らせた状態で「ゲーム」そのもの、つまり人生を終了してしまうのか。そろそろ真剣に考えるべき時期に差し掛かっていると思います。おっと、もうこんな時間か、会社に行かなければ。。
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