地球PF運用ブログ

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FIREの本流は「Lean FIRE」

FIREが話題です。私の中で。あらためてFIREとは「Financial Independence, Retire Early」の略語で、経済的自立と早期退職を両軸とするライフスタイルを指しています。このうち「経済的自立」とは、主に資産がもたらす収入だけで生活できる状態を意味します。当ブログで度々FIREをテーマとして取り上げていますが、来年3月に退職予定なので、最近は特にFIRE関連の情報に注目しがちです。

このFIRE、一般に4種類あると説明されています。

 

<4種類のFIRE>

  • Fat FIRE
  • Lean FIRE
  • Coast FIRE
  • Barista FIRE(Side FIRE)

 

「Fat FIRE」は働かなくても贅沢に生活できるFIREです。それだけ多くの資産が必要となり、おそらく普通の会社員では達成困難です。

「Lean FIRE」は働かずに質素倹約な生活を送るFIREです。ライフスタイルとしてはミニマリストに近いかもしれません。シンプルな生活のため「Fat FIRE」ほどの資産は要らず、普通の会社員でも十分目指すことができます。

「Coast FIRE」は、経済的に自立しながらも選択的に働くタイプのFIREです。要するに「FI」のみ達成して「RE」しません。あえて働くということは、その仕事に「やりがい」があるのでしょう。十分な資産を持ちながら情熱を注ぐ仕事も持っている、ある意味で最も幸せなカテゴリーかもしれません。

「Barista FIRE」あるいは「Side FIRE」は、資産収入+労働収入で生活するタイプのFIREです。資産収入があるので労働収入は少なくて済みます。そのため、普通の会社員よりも労働量を減らすことが可能になります。なお、両FIREを区別している説明もあります。その場合、「Barista FIRE」は特に労働の軽微さ(あるいは労働時間の短さ)、「Side FIRE」は副業として好きな仕事ができる、といった点にそれぞれ重きが置かれているようです。いずれにしても、資産収入だけでなく幾ばくかの労働収入が必要という点では共通しており、その意味では両者をひとまとめにしても良いかと思います。

さて、この4つのうちFIREの本流はどれでしょうか。個人的には「Lean FIRE」だと思います。

まず「Coast FIRE」と「Barista FIRE(Side FIRE)」は、厳密に言えばFIREではないでしょう。「Coast FIRE」は、FIREの両軸「FI」と「RE」のうち、片方のFIを達成しているのみで、もう一方のREは選択肢として残しています。「Barista FIRE(Side FIRE)」は、そもそもFIを達成していないため、REを選択できません。両者の違いは大きいですが、どちらもFIREの半分「RE」は未実施です。つまり、これらは一般にFIREの種類に含まれているものの、形式的にはFIREの条件を満たしていません。

残る2つ「Fat FIRE」と「Lean FIRE」は、いずれもFIとREの両軸を満たすFIREです。この完全性を特に強調して、両者ともに「完全FIRE」「完全リタイア」と言われたりもしています。

両者のうちどちらが良いかと言われれば、そりゃ「Fat FIRE」です。働かずに贅沢できる、もはや人類の夢と言っても過言ではありません。しかし考えてみると、これは単なる「お金持ち」であって、あえてFIREの概念を導入するまでもありません。普通の会社員では達成不可能であり、ここに至るには最初からお金持ちか、極めて有能か、超絶ラッキーか、あるいは尋常ならざる努力が必要でしょう。たしかに一番理想的かもしれませんが、これはFIRE以前の理想像であって、普遍的に実行可能なFIREとして考える意味がありません。

ということで、消去法的に「Lean FIRE」が残ります。「Lean FIRE」はいわゆる完全FIREであり、かつ一般の会社員であっても目指すことができます。ただし贅沢はできません。つまり「豊かさ」と「自由」のトレードオフ関係がある中で、豊かさよりも自由に重きを置くライフスタイルとなります。このトレードオフの存在がミソです。通常、働かずに豊かさと自由の両方を手に入れるのは困難です。もし両立できれば、それは「Fat FIRE」となります。両者のトレードオフを前提として、「働いて贅沢な生活」よりも「働かずに自由な生活」を選択します。その意味で、おそらく本流のFIREは「質素倹約」「シンプルライフ」「ミニマリスト」といった価値観を内包している、あるいはそれらの価値観に親和的な「Lean FIRE」だと思います。

FIREの発祥はアメリカです。そのルーツは、1992年に出版されたベストセラー「Your Money or Your Life」に由来するようです。この本では、資産収入とシンプルな生活を組み合わせて経済的な独立を達成する、まさに今日のFIREの源流となる基本的な考え方が提唱されています。これをきっかけに、FIREムーブメントが全米の若者を中心に拡がり、やがて欧州や日本にも上陸して来ました。

おそらくFIREの考え方が若者を中心に支持された要因は、この考え方が「死ぬまで働いて大量に消費する」といった旧来のライフスタイルに対するカウンターカルチャーだからでしょう。そこには、たくさん働くこと、たくさん消費することが、果たして本当に幸せなのだろうか、といった本質的な疑問があります。その疑問に対する具体的かつ実践的な回答が、おそらく「資産からの収入でシンプルに生活する」といった考え方を源流とするFIREなのだと思います。そう考えると、やはりFIREの本流は論理的にも歴史的にも「Lean FIRE」と見て良いかと思います。

ただし、本流が必ずしも支持を得るとは限りません。むしろ、本流の「Lean FIRE」には欠点があるからこそ、その亜種として様々な種類のFIREが生まれたのかもしれません。第一に、なんだかんだ言っても完全FIREはおそらく難しいです。たしかに「Lean FIRE」は「Fat FIRE」より実現が容易であり、普通の会社員でも目指せます。とはいえ、少なくとも数千万円程度の資産を構築する必要があり、よほど意識的に取り組まなければ達成困難でしょう。第二に、それほどの資産を準備しても、相場次第でFIRE生活が崩壊するリスクがあります。つまり、たとえ「Lean FIRE」が本流だとしても、それは実際的に達成困難でありリスクも大きいです。

一方、本記事の中で「これらは厳密に言うとFIREではない」とバッサリ切り捨てた「Coast FIRE」や「Barista FIRE(Side FIRE)」は、上記の欠点を克服します。「Coast FIRE」であれば、もし株式や債券が暴落して資産収入が減ってしまったとしても、労働収入があるので心配要りません。「Barista FIRE(Side FIRE)」であれば、完全FIREほど多くの資産を構築する必要がありません。実際、ブログやX(旧Twitter)を見ていると、これら2つのFIREの方が完全FIREよりも支持されており、どちらかのFIREを目指している人が多いように思います。

ちなみに、私は本流の「Lean FIRE」になりそうです。「Fat FIRE」は無理ですが、現状の地球PFの資産規模であれば「Lean FIRE」は可能かと思っています。元々シンプルな生活を送っているので、特に贅沢できなくても良いです。また、とにかく働きたくなく、自由にのんびりと生きていきたいので、今のところ他の種類のFIREにあまり魅力を感じません。もっとも、実際にFIRE生活を送ってみたら、考え方が変わるかもしれません。それはそれで楽しみです。

 

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