地球PF運用ブログ

2億円の「地球ポートフォリオ」で地球全体の資産を運用する氷河期リーマンのブログ

中央銀行の独立性

昨日、パウエル米FRB議長の講演がありました。市場関係者は講演直前まで「利上げに関する発言があるかもしれない」と、重要イベントとして注目していたようです。しかし、講演内容は「FRBの独立性」というテーマに終始しており、利上げをはじめとした金融政策に関する発言は特にありませんでした。そのため、米株価はほとんど影響を受けませんでした。

投資家にとっては肩透かしのようになった講演ですが、非常に重要な内容だと思いました。パウエル議長は、FRBがインフレと戦う中で、その核となるのは「政治的影響からのFRBの独立性」だと強調しました。その上で、FRBは自分たちの目標に関係のない政治的問題に関与すべきではない、との見解を示しました。講演では、政治的問題の例として気候変動問題を挙げています。

そうした問題が社会的にいかに重要であっても、いちいちFRBが引き受けてしまえば、FRBは政府からの独立性を損なってしまう、とのことです。FRBの目標は「物価の安定」と「雇用の最大化」の2つです。これらに関係ないことは、たとえ政府から指図されてもやらないよ、ということですね。また、自分たちは政府から独立して活動するよ、ということでもあります。この姿勢は非常に重要です。

そもそも、なぜ中央銀行なるものが存在しているのでしょうか。米国ではFRB、欧州ではECB、日本では日銀が中央銀行として金融政策を担っています。中央銀行の主要な役割は、お金、つまり「現金」を発行することです。ここでわざわざ「現金」と書いたのは、中央銀行は私たちが普段用いる「預金」を発行していないからです。預金というお金は、実は民間銀行が発行しています。

 

【参照】お金と労働と地球株

 1-1. お金が生まれるとき

 1-2. 【参考】預金の発行プロセス

 

それはそれとして、なぜ政府ではなく、わざわざ中央銀行がお金を発行するのでしょうか。中央銀行の存在意義とは何なのでしょうか。歴史を遡ると、地球のどこでも、お金は政府あるいは政府に相当する権力者が発行していました。しかし多くの国で、政府はお金を発行し過ぎてインフレとなり、財政破綻を経験しました。そこで、お金は政府ではなく、政府から独立した機関が発行するべき、ということになりました。その独立した機関こそが中央銀行です。政府が好き勝手にお金を発行するのではなく、政府から独立した中央銀行がお金を発行する、という現代の通貨制度は、まさに各国が歴史から学んだ知恵と言えるでしょう。

 

【参照】 1-4. 利用者全体のお金

 

パウエル議長は講演で、あらためてセントラルバンカーとしての矜持を見せたと思います。翻って日銀はどうでしょうか。「中央銀行の独立性」に基づいて金融政策を行っているのでしょうか。本当のところは分かりません。ただ一般庶民の目から見ていると、どうも政府の言いなりになって長らく緩和を継続して来ているのではないかとの疑念が湧いてきます。

もし中央銀行が政府に完全に従属しているとすれば、それは政府がお金を発行している状態と何ら変わりません。その結末は歴史が教えるとおりです。今後日本がどうなるのか分かりませんが、私は引き続きインフレにも対応可能な地球PFで資産防衛を図るつもりです。

 

【姉妹サイト】

お金と労働と地球株
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