日銀総裁人事が注目されています。黒田総裁の後任として、経済学者の植田氏が次期総裁に就任する方向です。植田氏は元日銀審議委員で、東大卒かつMITの博士号を取得しています。
当初は雨宮現副総裁が次の総裁候補として有力視されていました。
ところが雨宮氏は政府の打診を固辞し、次期総裁就任を辞退しました。辞退の理由はよく分かりません。素人目には「敗戦処理は勘弁してくれ」ということなのかな、と邪推してしまいます。
総裁候補が雨宮氏から植田氏に替わったとの報道を受け、ドル円は一気に円高に振れました。雨宮氏でないなら金融緩和の継続が怪しくなる、ということでしょう。私がニュースで植田氏の名前を最初に目にした時の感想は「だ、誰ですか?」です。率直に言って、全く知らない人でした。その後、植田氏に関する情報がニュース等で続々と出て来ました。相当な切れ者のようで、金融緩和の継続に賛意を示しています。そうした情報が出て来たからか、ドル円は再び円安に戻ってきました。
それでも植田氏の金融政策スタンスについては、情報が錯綜していて未だに謎です。ハト派ともタカ派とも、そのどちらでもない現実派とも言われています。また、金融緩和の継続には賛成している一方でYCCには反対している、といった情報もあります。誰もマークしていなかった候補者なので、報道機関も大急ぎで色々な情報を集めて報道しているのでしょう。個人的には、植田氏は黒田現総裁ほど極端ではないけどハト派寄り、といった印象を受けました。
もっとも、植田氏のスタンスがどうあれ事態は大きく変わらないかもしれません。日銀はインフレに対処するために利上げしようにも、おそらく今の景気では利上げに踏み切れません。その一方で、YCCはいずれ撤廃せざるを得なくなるでしょう。日銀の身動きが取れないような状況は、新総裁が雨宮氏になろうが植田氏になろうが変えられないと思います。
それにしても、日銀総裁人事がこれほど注目されるのは珍しいと思います。昨今のインフレや急激な円安等を受けて、多くの人が日本経済や日本円の将来に不安を抱いている、ということの表れなのかもしれません。日銀は大変難しい状況に置かれていると思いますが、植田新総裁の舵取りに期待します。
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