楽天投信投資顧問(以下、楽天投信)が10月27日、新たなインデックス型投資信託を新規設定します。以下の2本です。
楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド
楽天・S&P500インデックス・ファンド
明らかに、三菱UFJアセットアセットマネジメント(以下、三菱UFJ)の「eMAXIS Slim」シリーズに対抗しています。「楽天オルカン」は「Slimオルカン」と同じベンチマークで、同じ信託報酬(業界最安)です。「楽天S&P500」は「Slim S&P500」と同じベンチマークで、同じ信託報酬(業界最安)です。来年から始まる新NISAを前に、インデックス投信のコスト競争が激しさを増しています。投資家としては歓迎すべき状況です。
しかし楽天投信は、新規2本とそれぞれ似たような既存の投信「楽天VT」と「楽天VTI」を扱っています。楽天VTは全世界株に投資、楽天VTIは米国株に投資するインデックス投信です。厳密に言えば、いずれも新規2本とはベンチマークとカバー範囲が異なります。とはいえ、ざっくり言えば、楽天VTを更に安くしたものが楽天オルカン、楽天VTIを更に安くしたものが楽天S&P500ということになります。既に楽天VTあるいは楽天VTIを保有している投資家は、今回のニュースに対してあまり良い気分がしないのではないでしょうか。「それなら楽天VT(あるいは楽天VTI)を安くしてよ」というのが本音だと思います。
この少々モヤモヤする商売方法、ある意味で三菱UFJと同じです。三菱UFJも、既存のeMAXISシリーズは高コストのまま据え置いて、同じような商品で更に低コストなeMAXIS Slimシリーズを出しました。このeMAXIS Slimシリーズが今や業界を席捲しています。元々eMAXISシリーズ(Slimの付かない方)を保有していた投資家からすれば、あまり面白くないことでしょう。楽天投信は今回、商品も商売方法も三菱UFJを真似た、といったところでしょうか。
さて今回の新規2本、率直に言って、商品内容がeMAXIS Slimシリーズと同じなら、Slimに対するメリットは特に無いと思います。というのも、純資産総額はeMAXIS Slimシリーズの方が圧倒的に多いわけです。その上でベンチマークとコストが全く同じなら、素直にeMAXIS Slimシリーズを選べば良い、ということになります。楽天投信の戦略に勝機があるのか、いまいちよく分かりません。
それはそれとして、いわゆる全世界株の最安投信は、揃いも揃ってベンチマークがMSCI ACWIです。今回の楽天オルカンもそうです。当ブログで度々言及していますが、個人的にMSCI ACWIよりもFTSE GACIの方が好きです。というのも、FTSEの方がカバー範囲が広く、更に小型株まで含んでいるからです。地球PFの方針からすれば、FTSEの方が優れたベンチマークであると言えます。
※記事内のオルカンのコストは、現在その半分になっています。
今回の楽天オルカンのように、Slimオルカンと同じベンチマーク(MSCI ACWI)、同じコストの商品が出て来ても、おそらく規模で勝るSlimオルカンの優位は揺るがないと思います。しかし仮に、よりカバー範囲が広いFTSE GACIをベンチマークとして、Slimオルカンと同じコストの商品が出てくれば、そちらの方が魅力的です。Slimオルカンを脅かす存在になるかもしれません。少なくとも私は、その新しい商品を選択すると思います。もうMSCI ACWI連動モノはお腹いっぱいなので、FTSE GACI連動モノで超低コストな商品の出現を期待します。
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