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マイナス金利解除

日銀は昨日までの金融政策決定会合で、従来の大規模な金融緩和策の変更を決定しました。主な変更内容は以下3つです。

 

金融緩和策の変更内容

 

特にマイナス金利の解除が目玉です。マイナス金利は2016年1月に、日銀の歴史において初めて導入されました。日銀当座預金の一部に「マイナス」0.1%の金利を付けて、銀行が世の中にお金を供給しやすくなる環境を作ろう、という政策です。これにより企業への貸し出し金利等は確かに下がりましたが、そもそも民間の資金需要が乏しく、あまり成果が出ませんでした。異例の政策が8年を経てようやく解除となります。

世界的に利上げが進む中、未だにマイナス金利政策を続けていたのは日銀だけでした。その日銀がいよいよマイナス金利政策を止めるということで、ウォール・ストリート・ジャーナルは「世界的なマイナス金利時代の終焉」と評しています。

マイナス金利の解除は事実上の利上げです。その意味では、今回の解除は実に17年ぶりの利上げとなります。まさに歴史的な政策変更です。今回の決定は、金融政策正常化の第一歩と言って良いと思います。

日銀は長らく異例の大規模緩和を止められませんでしたが、ここへ来て「賃金と物価の好循環」が見通せるようになった、との判断から政策変更に踏み切りました。たしかに物価は継続的に上がっています。日銀が目標とする金利は2%です。2022年4月から今年1月にかけて、22か月にわたって2%以上の水準が続いています。また、今年の平均賃上げ率は5.28%でした(連合)。33年ぶりの高水準です。日銀はこれらのデータから、今こそ絶好の政策変更機会と捉えたのでしょう。

ただし、昨今の物価上昇は主に外的要因で発生しています。ロシアによるウクライナ侵攻によってエネルギー価格や穀物価格が上昇しました。つまり、現在のインフレはコストプッシュインフレ、いわゆる「悪いインフレ」です。また、名目賃金は確かに上がっていますが、インフレを加味した実質賃金は下がり続けています。これらの事を考えると、本当にいま金融政策を変更して大丈夫なのかなと一抹の不安がよぎります。

日銀はこれまで、利上げするも景気が落ち込み、政策の修正を余儀なくされる、といった「失敗」を繰り返して来ました。速水総裁時代も福井総裁時代もそうでした。なお速水総裁時代には、現在の植田総裁が審議委員であり、植田さんは当時利上げに反対していました。今回の利上げは成功するよう願って止みません。

さて、政策変更に伴ってどのような影響が出てくるでしょうか。

X(旧Twitter)では多くの人が、変動金利の住宅ローン金利が上がるのではないかと心配しています。住宅ローン利用者の7割以上が変動金利を選択しているので無理もありません。変動金利を今後上げるかどうかは金融機関次第ですが、個人的には当面は上がらないものと思っています。変動金利の基準となる金利は「短期プライムレート」です。短期プライムレートは、2009年1月から一度も変わっていません。そもそもマイナス金利の導入前から変わっていないので、今回の解除でも変わらないだろうと予想します。

為替はよく分かりません。今回、円高になると思っていたら円安になりました。通常、中央銀行が利上げすると通貨高となります。実際に色々な識者がこれまで、もしマイナス金利が解除されれば円高になる、と言っていました。ところが実際には円安となり、現時点で1ドル151円まで円安が進んでいます。識者によると「すでに織り込み済みなので円安になった」そうです。後からでは何とでも言えます。いわゆる識者は全く当てになりません。

とはいえ、今後はセオリー通り円高ドル安に向かうかもしれません。そうなれば、地球PFにとって逆風です。地球PFはほとんど外国資産で構成されているため、円高にとても弱いです。まあ為替の動向は全く予想できないし、長期的にはノイズのようなものです。気にしても仕方ありません。

日銀はいよいよ金融緩和策を変更し、17年ぶりの利上げに踏み切りました。歴史的な瞬間に立ち会えて嬉しく思います。

 

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