ツイッター上で度々、ドルコスト平均法とリスクの関係についてプチ論争になっています。「初心者はドルコスト平均法でリスクを下げられる」といったツイートに対して「ドルコストにリスク低減効果はねーよ」といったコメントが付いたりしています。逆に「ドルコスト平均法とリスクは関係ないですよ」に対しては「投資の初心者は実際ドルコストでリスクを下げられます」といった感じです。ツイートは140文字の制限があるため十分な主張や説明ができず、なかなか溝が埋まらないのかもしれません。
私は「ドルコスト平均法にリスク低減効果はない」と思っています。
あらためてドルコスト平均法とは、価格変動を伴うリスク資産を「定期的に定額」購入していく方法です。「定額購入法」とも言われます。この言い方の方がむしろ分かりやすいかもしれません。購入金額が常に一定なので、リスク資産の価格が低い時には購入量(口数)が増えます。逆に価格が高い時には購入量が減ります。この仕組みによって、全体の購入価格が平準化されます。
いわゆる「高値掴み」を防ぐことが出来るので、ドルコスト平均法は長期投資に有効と言われています。しかし、逆に「安い時に一気に買う」ことも出来ません。通常、投資信託等の評価額は長期的に増えていくと期待できます。そうであれば、ドルコスト平均法を使わず、なるべく早いうちに一気に買ってしまった方が良い、とも言えます。定額購入と一括購入ではどちらが良いか。これもまたドルコスト平均法に関して良く出てくる論点ですが、今日のテーマとは異なるので割愛します。いずれにしても、ドルコスト平均法は購入価格を平準化するだけの方法であり、実際のところ有利も不利もありません。
次に、ある投資家のポートフォリオの「リスクが低い」とはどういった状態を指すのでしょうか。これは、資産全体に占めるリスク資産の割合が低い(=安全資産の割合が高い)ことを意味します。以下のようなイメージです。
<リスクが低いポートフォリオ>
- 株式(リスク資産):1割
- 現金(安全資産):9割
<リスクが高いポートフォリオ>
- 株式(リスク資産):9割
- 現金(安全資産):1割
ドルコスト平均法を含め、どのようにリスク資産を購入していったとしても、結果的に前者のような割合になればリスクが低く、後者であればリスクが高いです。ドルコスト平均法はあくまでリスク資産購入の手段に過ぎません。一方、ポートフォリオのリスクとは、ある時点のリスク資産の割合に過ぎません。両者に直接の関係はなく、ましてドルコスト平均法にリスク低減効果などありません。
とはいえ、ドルコスト平均法は私のような勤め人にとって最適な投資方法です。会社員は毎月定額の給料を受け取り、一般にその範囲内でリスク資産を買い付けるしかないからです。また、証券会社は株式等をドルコスト平均法で自動的に買い付けるサービスを提供しています。働いていれば相場を四六時中見ているわけにもいかないので、このサービスを利用すれば楽ちんです。
ドルコスト平均法がリスクを下げる、といったことは特にありませんが、実際のところ会社員には最適な投資方法だと思います。
【姉妹サイト】