働かずに資産運用で生活するライフスタイル「FIRE」が注目されています。NHKのクローズアップ現代でも特集されました。
ネット上では「どれくらい資産があればFIREできるか？」といったネタでよく盛り上がっています。その資産額は3000万円～5億円くらいと幅広いです。
5億円もあれば、そりゃ良いですよね。しかし、普通のサラリーマンの生涯賃金は2～3億円くらいでしょう。つまり、一生働いても5億円には届きません。この手の議論では、ほとんどの人が好き勝手に数字を言っているだけなので全く参考になりません。
机上の空論ではなく現実を知りたいところです。それでは、実際にFIREを達成した人は、資産いくらでFIREに踏み切ったのでしょうか。これについて、現実のFIRE生活者を対象としたアンケート調査がありました。アンケート回答者は1000人強です。
＜FIREを実現した時点の資産額＞
- 3000万未満：30.4%
- 3000～4000万円：16.8%
- 4000～5000万円：13.3%
- 5000～6000万円：14.5%
- 6000～7000万円：7.1%
- 7000～8000万円：3.9%
- 8000～9000万円：2.5%
（出典：FIREするために必要な金額はいくら？調査から分かった資産額と資産運用方法 ）
調査結果によると、資産3000万円未満が最多で30%強です。また、75%が資産6000万円未満です。意外と少なくて驚きました。回答者の属性は不明ですが、おそらく多くは独身者でしょう。それにしても、3000万円では心許ないです。
一般に、FIREするには「年間生活費の25倍」の資産があれば良い（4%ルール）と言われています。この考え方は、年間生活費を投資元本の4％未満に抑えれば、高確率で30年以上は資産が尽きない、という米トリニティ大学の調査に基づいています。
資産3000万円ということは、4%ルールに照らせば、年間生活費を120万円に抑えれば何とかなることになります。毎月10万円未満です。独身かつ相当の節約生活が可能であれば、計算上はギリギリ生きていける感じでしょうか。何となく数年くらいで「FIRE卒業」に追い込まれてしまう気がします。
なお、この数字は税金を全く考慮していないものです。また、3000万円すべてがリスク資産とは考えられません。このうち何割かは預貯金等の無リスク資産でしょう。無リスク資産は収益を生みません。そういった諸々を考えると、個人的に資産3000万円でのFIREは危険過ぎると思います。
とはいえ、実際にFIREを達成した人の資産額です。FIREしていない人が好き勝手に言っているだけの数字ではありません。その意味で、非常に重みのあるデータです。少なくとも、資産3000万円で実際にFIREに踏み切れた人がそれなりに存在しています。FIREするために2億円なり3億円なり必要、というのは少々心配し過ぎかもしれません。
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